Hachigatsunoyuki

温度計は三十七度

昨日は雪が降ったと冗談めいた

それが本心だと知ったのは

雪を見た時だった

私の名前をわざと間違えて揶揄いだした君

全然そういう事するタイプじゃないから最初は戸惑った

私の悩みの中途覚醒が移ってしまったの

夜風に揺らされ月に照らされて今日から切り絵になった君

もう三年前 最後に旅行へ行ったのは

あの時見た高台からの夜景覚えてる？

私だけの思い出

二人だけの思い出

私だけの思い出

バイバイ

こんにちは初めまして

昨日ぶりだね

怒った顔なんて知らなかった

些細な事で怒鳴るようになって

まるでどこかに行ってしまったようで

毎晩泣いてた

水面に浮かんだ金魚が最初の違和感だったかな

あんなに大事に育てていたからとっても大きくなったのに

認めてしまえば楽になれたのにそんな事は無理で

君の存在を肯定する為 見て見ぬフリして抗った

もう四十年 湖の辺りで出会った

霧がとても濃かったあの日

今も覚えてる？

私だけの思い出

二人だけの思い出

一人だけの思い出

バイバイ

こんにちわ初めまして

昨日ぶりだね

君にとって私が私じゃなくても

私にとって君が君じゃなくてなってても

きっとあの頃と変わらないはずだから

そう信じる他には一つしかなかった

少しだけ疲れたでしょ

少しだけ疲れたよ

一緒にいこう

一緒にいこう

一緒にいこう

一緒にいこう